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□■男・大吉■□  ~生きてただけでラッキー! だから大吉!!~

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2009年 03月 08日

《24》優しい時間

◎ココまでの過程◎
ここにきて、突然生命力が輝き出した猫。
食事を続けて口にし、脳以外の障害は免れ、歩けるようにもなっていた。
はじめましての方はコチラからどうそ⇒
《1》 赤い猫
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ベット落下時にできた傷をうっかりタオルでこすりあげ、思い出す腕の痛み。
しかし頭の方で思い出されるのは、猫と過ごした半日前のことだだった。

今週に入ってからの猫の変化には本当に驚かされてばかり。
食事をしてくれた事が大きな一歩であったのだけど、あんなに私たちが心をキュウキュウに鳴らしていた、目、耳、鼻の機能の心配まで問題ないだろうと言ってもらえ、雨雲を隠し持っていた私の心はどこの空よりも晴れ晴れし、視力が突然上がったかのように目の前がクリアになった。
興奮してじっとしていられなくなった私は、猫を潰れそうなほど抱きしめたり、お互いの顔が磨り減ってしまいそうなほど猫に自分の顔をこすり付けたりと、猫と自分の境が沸かなくなりそうなくらいのスキンシップをとった。

そんな私のマーキング行為を少し離れたところから見ていた看護士さんが、

「あの…缶詰を急にがっついちゃったせいだと思うんですけど…この猫ちゃん、水状の激しい下痢をしちゃったんですよ。…だから、その…あの…」

奥歯に物の挟まったような口調の看護士さんの目線は、猫と私を交互に見て困っている。
困っている彼女の視線が行き来する猫を改めて見てみると、確かに猫の体はガッツリと汚れていた。
その汚れの原因を、何かの薬の色が付着しているのだろうと都合よく解釈していたのだけど、どうやらウ〇コだったようだ。
看護士さんの私を見る瞳の上でハの次に下がっている眉毛で「まさか」と察し、頬に優しく触れている猫の腹の辺りの付着物からの臭いが、「やっぱり」と決定打となった。

でもいいの。
私は平気!

ウ〇コで汚れている猫は、私のゴリ押しスキンシップに嫌な態度を見せず、それどころかノドをリズミカルに鳴らし、キュートな鳴き声を沢山聞かせてくれて、私は彼の奏でる癒しの音色と、彼から漂う天然アロマ臭の中で幸せだったんだから。


脳障害のこれからについてはまだ心配は続いてしまうけれど、目、耳、鼻の機能についての心配は手放せる事が出来たし、これだけスキンシップがとれ、喜びを表現できる猫なのだから、数日前よりずっとずっと明るい未来への扉が開かれたとこの時は思っていた。

治療に関しては、食欲増幅の副作用を期待して、またこの猫にもあっているとの事で、当面フェノバールの服用を続けていく事になった。
フェノバールによって、同方向へグルグル回ってしまう症状も抑えていけるかもと先生からの説明を受け、それならば、と私たちもそれに同意したからだ。

気持ちが軽くなった私たちが動物病院を去ってから、しばらく続けていたらしい(あとから知った)点滴とビタミンBの投与は切ると先生が話していたので、きっと今頃は身軽になって、伸び伸びとしているんだろうなんて、バイクの後ろで想像し喜びをかみ締め、安堵していた。

そう。
この時の私たちは、やっと緊張の糸を少し緩める事ができるようになってきた頃だった。。

嬉しくて。
本当に本当に嬉しくて。

だから。
だから。

「もう悲しくなるような言葉を、そんな現実を届けてこないで下さい」
沢山沢山空にお願いしたんだ。
でも空よりもっとずっと向こう側で、
明日の私が、鶴見さんと並んで肩を落としていた。


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by acchan-man | 2009-03-08 15:22 | 大吉の歩み


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