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□■男・大吉■□  ~生きてただけでラッキー! だから大吉!!~

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2008年 02月 24日

《13》希望が消えてしまった

《13》希望が消えてしまった_d0139236_183906.jpg◎ココまでの過程◎
私達の間では鶴見さんのセールストークに心動かされた、彼の同僚が唯一の未来への道すじだった。
鶴見さんが同僚へ室内飼いのあれこれや、事故の状況などを説明しているとほぼ同時に、猫の中で少しずつ事故によって出来た見えない傷が、姿を現そうとしていた。
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猫の異変に気づきはじめたのは、割と早い段階だった。

鶴見さんがいつも通り仕事を抜け出し、病院へ足を運んだある日、何気ない会話の中から
鶴見さんは先生にふいに聞いた。
「そういえばこの子、ケージの外に出したりってされましたか?」
ごく普通の質問。その答えに怯える気持ちもなかった。
現に先生は
「ええ。食事を口にしていないのでヨロヨロですが歩きましたよ」
と明るく答えてくれた。
そう言われたら、ずっと斜めに倒れている姿しか見ていない鶴見さんが、ヨロヨロでも何でも歩く姿を自分も見たいと思うのは当然の事だろう。
許可を得て、鶴見さんは猫をケージの中から優しく抱き上げ、更に注意を払って床に下ろした。
猫が傷つかないようにあくまでそうーっとそうーっと。
ちょっとワクワクもしていた。
そして猫はゆっくりゆっくりと動き出した。

確かにこの時、目の前には揺ぎない命があった。
自力で歩く事だってできるじゃないか。
ただ…
そこに足りなかったモノに、鶴見さんは先生より先に気づいてしまったのである。
目の前の猫に、少なくとも今この瞬間は、大切なモノがない。

それは…


意識。

なぜならこの猫は、同じ方向にグルグル回る事しか出来なかったからである。
相変わらず口は開いたまま、目はうつろだ。
これで恐れていた事故の後遺症による脳障害の存在が確かなモノとなってしまった。

そしてそれと同時に、鶴見さんの同僚に里親になってもらっう夢もシャボン玉のようにはじけて消えた。障害の度合いが重すぎた。



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by acchan-man | 2008-02-24 18:47 | 大吉の歩み


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